この記事は、人の行動が感情や気持ちで決まることをルール化してまとめた学問である「行動経済学」を、経済活動で実際に使えるように解説している本を紹介しています。インターネットでの経済活動に役立つ内容も書きましたのでぜひ最後まで読んでいって下さいね。
本の概要
モノがよく売れるようにするために値段をいくらにしたらよいか、どんな売り文句だと効果が高いか等に役立つ行動経済学について解説し、広告での表現の仕方や売場で活かせる実践的な理論と事例が豊富に盛り込まれた1冊です。
本書の構成は
プロローグ 個人にも!会社にも!「行動経済学」は役に立つ
第1章 売り方/商談 売り方の視点を変えると売上は激伸びする!
第2章 広告表現 「それなら欲しい!」と言わせる表現を探せ
第3章 価格決定 値札のつけ方一つで利益は大きく変わる!
第4章 ブランド化 長く愛される商品を育てるにはココに注目する!
となっており、全体で41のテクニックについて項目ごとに「定義」「事例」「解説」「まとめ」という形で書かれています。
文字が大きめで行間も広く、イラストも多く使われているので、読みやすくて実践のイメージが湧きやすい本という印象です。
インターネットでの経済活動で役立つテクニック3選
1.SNSビジネスアカウントの運用ポイント
第1章のテクニック13「大切な商談を有利にするには接触回数を増やす」の項目にSNSビジネスアカウントの運用について書かれています。
ここで役に立つのが「ザイアンス効果」というもので、人は人やモノ、サービスに何度も触れることで警戒心が薄れ、興味や好感が湧きやすく性質があるそうです。
この効果をSNSビジネスアカウントを運用するときのポイントが5つあります。
①目的にあったSNSを選択する
売りたいお客様層に向いているSNSを選びましょう。総務省の調査データが参考になるそうです。
②継続できるスタッフを置く
SNSは続けることが大事にですので、文章入力などに抵抗がない人材に担当してもらいましょう。
③ブランド価値を向上する内容にする
自社ブランド・自分ブランドの雰囲気やマーケティングという目的から外れない投稿を心がけましょう。
④適切なタイミングで投稿する
売りたいものと売りたいお客様層を考えて、よく見てもらえるような時間帯を狙って投稿しましょう。例えば、企業が企業へモノ・サービスを売りたい場合は朝の7、8時台の投稿が効果的とのことです。
⑤話題性のあるコンテンツを提供する
ニュースや時事ネタ、流行の話題を取り入れた投稿は共感や関心を呼びやすく、バズる可能性を高めます。お客様層を理解した上でその心理に響くような記事や役立つ情報を提供することが大切とのことです。
2.心理効果とキャッチコピー
第2章のテクニック9「心理効果とキャッチコピー表現例」の項目ではキャッチコピーを考える上で効果的な心理現象が10種類以上解説されています。それに伴う具体的なキャッチコピー例も合計で30個以上書かれています。
解説されている心理現象の1つに「ジンクピリチオン効果」があります。これは、言葉の迫力に影響されてその内容を過剰に評価してしまうというものです。
かつて、シャンプーのCMで「ジンクピリチオン配合!」というフレーズが使われて、消費者がどんな効能があるのかよくわからないまま”良いもの”と思い込む現象があったそうです。
近年の例ではビールの「上面発酵」、防虫剤の「イカリジン配合」などが挙げられます。
ジンクピリチオン効果の他には、
・ネガティブなことに強く反応してしまう人の心理を利用したもの
「あなた、まだ高い買い物をしているんですか?」
・希少性を訴えるもの
「このワークショップはあと10人で満席です」
・権威性を利用したもの
「歯科医が進める歯ブラシ」
などなど。思い当たるものもあるのではないでしょうか?
これらの他に”心理の矛盾をつくキャッチコピー表現”もあるそうです。
行動経済学的な非合理や思い込みを指摘して自分たちの商品・サービスを選んでもらえるようにしようというものです。
例としてはバスタブのお湯の浄化装置のキャッチコピーが挙げられています。
飲み水を気にする人が増えてきてミネラルウォーターや浄水器が買われるようになっていますが、お風呂のお湯も直接肌に触れるし、口に入ってしまうこともある。飲み水と同じぐらい気を付けてもいいんじゃない?と問いかける次のコピーです。
「飲み水は気にするのに、毎日のお風呂は無関心」
小さいお子様がいるお父さん・お母さんに刺さるような、需要を創り出すコピーとして解説されています。確かに、うまいところを突いているなと僕も感じました。
3.ファンを固定化する
第4章のテクニック1「ファンを固定化するには統一イメージを発信する」はインターネットで経済活動をする上で重要な内容だと思いました。発信のスタートから意識しておく必要があるからです。
ファンの固定化に関係するのが「一貫性の原理」です。これは人が一度明言したことや態度、信念などを変えずに貫き通そうとする心理のことです。
ファンの固定化には時間が掛かりますが、ブレずに一つのことを伝え続けることで「〇〇のことならこの人だ!」という印象を与えることができれば、多少ブレたとしてもファンの方で一貫性の原理が働いてあなたから離れることはないでしょう。
そして「〇〇のことはらこの人だ!」という印象はファンの時短に繋がり、選ばれやすくなるという効果もあります。
人間の脳はできるだけ効率化(手抜き)をしようとするので、固定したイメージがあってそれが悪くなければ他を調べる事なくそのイメージを選ぶそうです。
「ブレない発信」を心がけていきましょう。
今日からできること
自分が買い物した時の心の動きを観察してみる
お客様の「買いたい気持ち」を知るには、自分がどうであるかを観察してみると参考になることが多いです。
・「残りわずか!」という言葉でつい買ってしまった
・飲食店のメニューが多いよりも少ない方が選びやすい
・契約しているサブスクのサービスで、もう利用していないけど面倒くさくてそのままにしている
などなど。
そして、あなたと同じように買っている人もいるでしょう。
行動経済学という学問が成り立つ以上、”人類共通の心の動き”があります。
あなたが欲しいと思ったモノ・サービスは他の人も欲しい。
そしてモノを売ること以外でも、「こうされると嬉しい」「こんなことが楽しい」と感じた物事に共感してくれる人がいます。
プラスの感情を観察し、さらに文字や言葉にできるとコミュニケーションもよりよくなっていくでしょう。
まとめ
経済活動は規模の大小はありますが、結局「人と人とのやりとり」です。
人が行動する源となる心理を知っているかそうでないかで大きな差が生まれるでしょう。
ただ、その心理をテクニックと捉えて表面的に扱うのでは長い目で見た時に上手くいかなくなります。
本書によると「人間の心理や行動パターンを理解することは大切ですが、行動経済学の知見を頼みにして、お客様を軽視してはいけません。」とのこと。確かにその通りですね。
本書の行動経済学を参考に、お客様やあなたの大切な人がさらに喜ぶような活動・行動に磨き上げていって下さいね。僕も頑張ります!
なお、本書は僕が参加している書評チーム「ツナグ図書館」を通じて読ませていただきました。「ツナグ図書館」についてはこちらでご紹介していますのでどうぞ読んでみてください。


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