ネガティブを活かせ!「感情のメッセージに気づくと、人間関係はうまくいく」を書評

ツナグ図書館

この記事は、自分の気持ちをずっと抑えて生きてきた著者が、感情の力を活かすことの重要性に気付いて、人間関係の悩みから解放されたという本を紹介しています。嫌な人、逆に仲良くなりたい人とどういう風に関わったらよいのかについても書いていますので、是非最後まで読んでいって下さいね。

本の概要

ネガティブな感情を読み解く「感情リーディング」を基礎とした

・距離を置きたい、嫌な人への対処法
・好かれなくてもいいけど、嫌われたくもない人への対処法
・仲良くなりたい、気に入られたい人への対処法
・心の距離を縮めたい、心を動かしたい人への対処法
・本当の幸せで結ばれたい人への対処法

これらを学ぶことができます。自分の感情を大切にしながら、人間関係を良くする方法がわかるわけですね。

29ページに「人生への影響が大きい・小さい」を縦軸、「心の距離が遠い・近い」を横軸にした「心の距離別マトリックス」があり、それぞれのエリアに適した対処法が解説されている章(人生への影響が小さく、心の距離が遠い人への対処法は2章といった具合)が分かるので、特に気になる人との接し方を優先して読むことができます。

各章で具体的なコミュニケーション例が書かれているので、実践がイメージしやすい点も良いです。

オススメ対処法3選

1.嫌な人への対処法

本書の第2章では「距離を置きたい、嫌な人への対処法」が解説されています。この章で特に参考になると感じたのは、自分に害を加えてくる人への対処法です。

害を加えられると反撃したくなったり、被害を誰かに話したくなったりしてしまいますが、それはあなたの人格を下げることになってしまいます。

そこで、害を加えてくる人との時間を「自分を高めるチャンス」に変えてしまうのです。

具体的には次の2ステップです。

①嫌な人を許す
②嫌な人を理解する

①は「相手のレベルが低いからしょうがない」と思っておけばいいそうです。
個犬的には相手を「レベルが低い」と評価すること自体はあまりよろしくないと思ってしまいますが(汗)、嫌な人とのの時間を避けられない状況で自分のメンタルを保つためには、参考になる考え方です。

次の②では相手が嫌な態度を取る背景や、理由を想像してみるとのこと。この時、その想像は合っている・間違っているは関係なく、相手に確かめる必要もありません。勝手な想像で大丈夫です。

この人もずっと嫌な思いをしてきたのを誰かにぶつけたいんだな、とか、プライベートでイライラすることがあったのかな?とか。自分とは関係ない何かの力が嫌な態度の原因なのかもと思えると、冷静になれます。

そして嫌な人を許し、理解できたら、そんな自分を「嫌な人を理解できる自分って、すごい!」「器が広い証拠だ!」と前向きにとらえることで社会的自己効力感(気難しい人や初対面の人を目の前にした時に「うまくやれそう」と思える感覚)を高められます。

嫌な人との避けられない時間は、コミュニケーションレベルを高める時間にしてしまいましょう。

2.仲良くなりたい人への対処法

本書の第4章では「仲良くなりたい、気に入られたい人への対処法」が解説されています。この章で特に面白いと感じたのは、イライラの感情をプラスに変えるというところです。

職場で体験したイライラは、あなたの隠れた才能の表れであることが多いというのです。
一体、どういうことでしょうか?

職場でイライラしたことを次の2点について考えてみて下さい。

●あなたは「何に」対してイライラしたか
●あなたは「なぜ」イライラしたのか

希望する未来をボンヤリとではなくハッキリさせることで、それに向かって行動しやすくなります。

著者も初めはこの問いに対して「平日の昼間に、冷たいビールが飲みたい」というぐらいでしたが、何回も自分に最高の未来を問いかけているうちに「(職場を)生き生きしたチームにしたい」「笑顔の家族にしたい」という思いが徐々に湧いてきたそうです。

注意点として、この未来を問う時に「なぜできない?」「何が・誰が・どこが悪い?」といった過去の原因を問うのはNGだそう。気持ちが未来に向かいづらくなるからです。

3.本当の幸せで結ばれたい人への対処法

本書の第6章では「本当の幸せで結ばれたい人への対処法」が解説されています。
「心の距離別マトリックス」では人生への影響が大きい・心の距離が近い人への対処法になります。
信頼や愛情に関わる部分ですね。

本当に大切にしたい人に対して、愛情が深くなる分、上手くいかない時は落ち込みも激しくなりますよね。

人の感情は変わっていくもので、本書によると「愛」で始まった感情も、相手と心がすれ違ったり期待通りにいかない場合、

「愛」→「寂しい」→「不安」→「怒り」→「諦め」

と変化していくそうです。
この「寂しい」「怒り」といった感情の”根っこ”は何だろう?と探ってみないと悩みは解決しないと解説されています。

その根っこを探るために自分に対して2つの質問をします。それは、

質問① 「なぜ?」
質問② 「どこから?」

です。

今感じているネガティブな感情はなぜ感じるのか、そしてその感情はどこからくるのか。
これを2~3回繰り返すことで「悩みの本質」が分かると書かれています。

そして、「悩みの本質」の正体とは何か?これには3つあります。

悩みの本質の正体① 才能、自分の本質
悩みの本質の正体② 制限的な考え方、過去の痛み
悩みの本質の正体③ 愛

悩みの正体はどれか1つのときもあれば、2つ重なるとき、3つすべて当てはまるときもあるとのこと。何が正解かは、「なんとなく、これかな?」と感じたことが正解だそうです。

今日からできること

相手との「心の距離」は、自分の気持ち次第で、自分で決める

誰と仲良くなりたいのか、誰と距離を置きたいのか。家庭や職場、学校などの環境次第でなかなか思うようにできないと感じるかもしれませんが、基本的にはあなた自身で決めてよいのです。

その上で、本書を参考にしていただくのはもちろん、その他コミュニケーション術やテクニックを調べてみるのもよいでしょう。相談できそうな人に話をするのもアリですね。

自分基準にしたコミュニケーションを取っていく。最初は難しいかもしれませんが、少しずつ試していけば、より自分らしい生き方をしていけるでしょう。

まとめ

ネガティブな感情が少ない方が生きやすいとは思いますが、その感情は自分を守ろうとする(危険を察して避けるために行動する)動物としての本能が働いている証拠とも言えます。

日々生活していれば、どうしたってネガティブな感情は湧いてきますよね。それにフタをするのではなく、向き合って見つめ直してみると、「イヤだ!」「ツラい!」だけで止まらずに改善策やポジティブなエネルギーに換えることができます。

いつもネガティブな気持ちが出てきてしまい、人間関係が上手くいかなくて悩んでいる……そんな状態な方ほど、本書は力を発揮するでしょう。ぜひ読んでみて下さい。


なお、本書は僕が参加している書評チーム「ツナグ図書館」を通じて読ませていただきました。「ツナグ図書館」についてはこちらでご紹介していますのでどうぞ読んでみてください。

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