今の生き方に疑問を感じたら読みたい「明日の君は、どこにいる?」を書評

ツナグ図書館

 この記事は、数々の名著を参考にしながら、人生で大事な決断をする時に知っておくべき考え方の原理を、物語仕立てで教えてくれる本を紹介しています。あなたの悩みの解決につながる(かもしれない)内容になっていますので、ぜひ最後まで読んでいってくださいね!


✅ はじめに

「自分はこのままでいいのだろうか……。」

こう思い、どうしていいかわからない瞬間をあなたも経験したことがあるでしょう。

本書は、友人から「一緒に起業しよう」との誘いを断った主人公が、
・その決断は正しかったのか
・そもそも今の仕事に満足しているのか
・自分の人生はこれで良かったのだろうか
などと迷ってしまい、かつて近所に住んでいた「ヘーゲル先生」(哲学者ヘーゲルの研究をしているから)に相談しにいくところから始まります。

本書では人生を「山を登る人生と麓(ふもと)から眺める人生の二つがある。」と表現しています。

「山を登る人生」は何かを知りたい、何かを成し遂げたいと思う人の人生。
「麓から眺める人生」とは安定を選び、色々な人の可能性を眺める人生。

そして、「山を登る人生は楽しい。『自分はこのままでいいのか』と思ってしまうような人は山を登りかけている」と書かれています。

人生に優劣はありませんが、もしあなたが「山を登る人生」に少しでも心惹かれるものがあるなら、ヘーゲル先生がその後押しをしてくれます。


✅ 目次を読んで思ったこと

本書の目次は次の通りです。

はじめに 心の羅針盤の見つけ方
序章 先生、僕の人生はこのままでいいのでしょうか
1章 先人の肩を借りる
2章 勉強すれば、すべてのことが分かる?
3章 悩むくらいなら、進んで「対立」するんだ
4章 信念がぐらつけば、人は真実を探ろうとする
5章 新しい一歩は、自分に向き合うことからはじまる
6章 自信を持って自分で決めるために必要なこと
7章 人生の課題
終章 それぞれのその後


1章から7章では、各章のテーマに沿って夏目漱石やデカルトなどの古典を参考にした「授業」があり、本の登場人物と共に学べるページがあるのでより理解しやすくなっています。

古典から学んだことをなぞって生きるというよりは、古典から「自分自身の力の引き出し方」を学ぶ印象です。全体は370ページを超えますが、気になった部分から読んでも問題ないです。


✅ 本書の概要(どんな内容?)

  • テーマ:人生に悩んだ時、数々の古典を参考に人生の羅針盤(生き方)を学ぶ
  • 対象読者:今までの人生がこれでよかったのか、これからどうしたらいいのかと悩み、迷う方
  • 書き方:物語調で会話形式で進んでいく。”主人公がヘーゲル先生に相談”→”ヘーゲル先生がかつて行った授業、その解説”→”ヘーゲル先生の教え”という流れ。文字が小さめで、難しく感じる内容もある

✅ 印象に残ったポイント3選

1. 本とおしゃべりする

著者だって一人の人間”

本を読むとその内容に集中して著者の存在を忘れがちになり、書いてあることが絶対的に感じてしまうことがあります。

ですが、著者も一人の人間。必ずしも正しい事を書いているわけではない場合もあります。自分と考え方が合わないこともあるでしょう。

「著者はなぜこう書いたのか?」と問いかけながら、おしゃべりをするように読むことで本の内容がさらに分かるようになり、本当に自分に役立つのかを判断できるようになります。


2.歴史を学ぶのは、今の自分を知ること

いまの社会を、自分がどう見ているかを知る

歴史というと遠い昔のような気がしますが、その歴史があって今がありますよね。

学校で歴史を習うと何かと暗記しなければならないツラい科目だったりしますが、時代の流れを知るという視点で改めて日本や世界の歴史を学ぶと、どうやって今が出来上がったのかがより深く理解できます。

そしてその今を自分がどういう思いで見ているか。どこが好きで、どこが気に入らないか。それが自分自身を深く知ることに繋がり、より中身のある人間になれるとのこと。

僕は戦国時代のシミュレーションゲームが好きなのですが、この話を読んだ後では、ただクリアを目指すのでなく「戦争の毎日は安心できず大変だったろうな。穏やかな時代を生きられてありがたいな」と思う自分に出会いました。

ささいなことかもしれませんが、歴史に対する見方が変わると自分のことがさらにわかるようになる、それを実感しました。


3. 事実と判断を分けて考える

「事実」と考えていることには「選ぶ」という判断が含まれている

本書では主人公が友人からビジネスの誘いを受けて「社会の変化が速くなっているから自分のビジネスを持った方がいい」との話をされています。

仮に「社会の変化が速い」を「世界はグローバル化していて身近になっている」という話題にしていたら、ビジネスではなく「それを確かめるために一緒に世界旅行に行こう」という話になっていたかもしれません。

つまり、友人はビジネスの話をしたいがために「社会の変化が速くなっている」という前置きを”選んだ”ことになります。

「話が事実かどうかを気にする人は多いが、事実を選んでいることに注目する人は少ない。」とのヘーゲル先生の言葉には、「事実の選択」については僕も今まで思い至らなかったことを気付かされました。

例えばニュースの場合、それが事実だしても、なぜその内容が報道されるのか?
そこには報道する側の判断や狙いが含まれていると考えると、自分に必要なニュースなのかどうかがわかって、受け入れるのか聞き流すのかを選ぶことができますね。

情報が多すぎると言われているこの時代を生きていくために、この「事実は選ばれている」との見方は大切だと感じました。


✅ 今のあなたに、本書から伝えたいこと

自分の人生は自分で決めるもの。行き先を示す“羅針盤”はあなたの中にあります。

人生のターニングポイントとなるような出来事との出会いも、その羅針盤に沿って行動していく途中で起こるものでしょう。

自分の思いを基準に「人生をこう生きていく」という方向性を持って毎日を過ごしてみて下さい。


✅ 今日からできる小さな一歩

★何をもって自分と為(な)すかを考える

どういう生き方をしていけば「これが自分である」と納得できるのか。外部の意見ではなく自分の心の中から湧いてくる思いを基準にして考えてみましょう。

生き方に悩みを抱えるということは、今の状態が今一つ納得できないからでしょう。
どうすれば生き方に納得できるか、それはあなたの中にしかありません。

周囲の意見はさておいて、自分と対話してみて下さい。少しずつ、「これが『自分』なんだ」と見えてきて、納得できる人生が始まっていくでしょう。


「自分はこのままでいいのだろうか……」と不安になった時は新しい人生を送るチャンスです。本書のヘーゲル先生の授業を受けて、新しい人生の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?



なお、本書は僕が参加している書評チーム「ツナグ図書館」を通じて読ませていただきました。「ツナグ図書館」についてはこちらでご紹介していますのでどうぞ読んでみてください。

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